まずやるべきこと?

薬局勤務も2年目に入り、少しずつではあるが薬局薬剤師がやらなくてはならないことが見えてきたような気がする今日この頃。

基本的サービス

まずは患者さんがわざわざ二度手間をかけて院外で調剤してもらうということに対して、調剤薬局という店舗が提供している、すべきサービス。
タテマエとしては、処方の二重チェックがある。
でもこれは院内処方でも院内の薬剤部がやっているだろうし、むしろ彼らにはカルテという強い味方もいるわけで、あまり当てはまらないように思われる。
で、ホンネとして一番の違いは「調剤のスピード」と「服薬指導」である。
調剤なんて別に、調剤薬局に最新の機器があるわけでもないので調剤薬局だろうが院内薬剤部だろうがスピードはかわらなそうなものだ。
でもなぜか、院内薬剤部のほうが圧倒的にとろくさ、げふげふ、時間がかかるようなのだ。
これはまわりの友達の話を聞いていても、そして実際に患者さんの話を聞いても感じることだ。
また服薬指導についても、調剤薬局では原則として全員に行う。
たとえ風邪薬であろうと、抗がん剤であろうと、シップだろうが目薬だろうが行う。
それぞれの薬にはそれぞれ気をつけて欲しいことがあり、その注意事項を徹底して初めて服薬のリスクを抑え、作用を生かすことができるからだ。
それなのに病院の薬剤部では、外来患者にはただ薬を渡すだけ、というところが多い。
病院薬剤部には他にも仕事があって忙しいのは分かるが、服薬指導を削るのはいかがなものかと思う。

患者という人間に対して

患者さんにとってDr.はまだまだお医者「様」であり、特に高齢の患者さんにとってはDr.の処方や診察に対して意見をするのは難しい。
それは病院内にある病院薬剤部に対しても同様であり、調剤薬局とのもっとも大きな違いの一つは「病院に対する愚痴が言える」ことではないだろうか。
これは言い換えれば、病院でお医者「様」の前で緊張を強いられてきた患者さんが初めてホッとできる場所が調剤薬局である、と言える。
実際、調剤薬局に来て病院での対応に愚痴をこぼしていく患者さんはかなり多い。
これをただ聞き流すだけではなく、調剤薬局が精神的にフォローアップしてあげることができれば、病院−患者−薬局の3者の関係をより良好にし、治療に貢献できるのではないだろうか。

医療チームの一員として

調剤薬局の薬剤師は病院から見ればあくまでも「外部」の人間であり、そのため処方作成にかかわるチャンスは病院薬剤師と比較してもほとんどないと言っていいと思う。
このことに関して最近「薬剤師にも処方権を」という声も聞こえるが、僕自身は現状の薬剤師の実力、そして医師との関係を見る限り、当面薬剤師に処方権を与えるべきではないと考える。
そんなことをしてプチドクターを量産する前に、薬局薬剤師は医療チームの一員となる努力が必要なように思う。
病院では言いたいことも我慢してきた患者さん、待ち時間があまりに長くて何も言う気力をなくした患者さんから、調剤薬局だからこそ拾い上げることのできる情報もあるはずだ。
そういう情報の中から、緊急性の高いものに関しては疑義照会の形ですぐに病院へ連絡を取り、緊急性は高くないがDr.にも知っておいて欲しいことは「次回伝えてください」と患者さんにお話しする。
また、患者一人一人に合わせた服薬指導を徹底することでコンプライアンスの向上や、治療に関する精神的フォローアップ*1を行う。
これによってDr.の診察を外部からサポートしてあげることが、医療チームの一員として調剤薬局の薬剤師がまずやらなくてはならないことなのではないだろうか。

まとめると当たり前なことばっかりになるけどな。

  • 速く正確な調剤を。(併用禁忌:調剤過誤)
  • 正確な情報を正確に伝える工夫を。*2
  • 患者さんの精神的フォローアップを忘れずに。(併用禁忌:自己満足)

現状の自己評価は「3点ともマダマダ」ですよ。

*1:患者さんの家族に対するフォローアップを含む。

*2:患者さんが正確に服用できるようにすることが最低条件