成人病診断基準

最近、「高齢者の血圧は無理に下げすぎない方がよく、70歳以上で血圧160程度であれば薬物治療の必要はない」との報告があったりして成人病治療の診断基準が見直されつつあるが、今日は閉経後女性の高脂血症について。


高脂血症は現在、TC(総コレステロール)220mg/dL以上を薬物治療開始の基準としている。*1
これは、TCが高いと心筋梗塞を発症しやすいというデータに基づく。
だが昨年、大阪府守口市で住民約1万6000人を5年間にわたって調べた結果、コレステロールの高い人の方が脳卒中などが少なく、死亡率が低いと報告された。
福井市大阪府八尾市などでも同様の調査がある。
さらに心筋梗塞は1000人に1人という割合でしか発症しない上、実際に心筋梗塞を発症するのは男性に多く、女性の発症率は男性の半分以下。
ところが閉経後の女性はTC値が上昇しやすい傾向にあり、薬物によってTC値を下げる治療を受けている患者は女性が3分の2を占める。
このことについて今回「多くの中高年女性に必要性の疑わしい治療が行われている」との指摘がなされたわけだ。
日本動脈硬化学会とは別に日本人間ドック学会では閉経後女性に関してはTC240以上を高コレステロールとする基準を公表しているし、日本総合検診医学会では中高年男性260、女性280以上との新しい基準値を提唱した。


(元記事:2005.4.13.読売新聞)

*1:日本動脈硬化学会による