偏頭痛

nohmin2004-11-19

今月の定例勉強会は津島市民病院で偏頭痛の勉強。
とっても分かりやすく、当たりの研修でした。

  • わが国における偏頭痛の有病率は8.4%で、男女比は1:3.6で女性に多い。
  • 年齢別有病率は女性の場合30歳が20%でピーク、その後徐々に低下し、60歳では8%。
  • 男性の場合、20歳代でピーク(6.8%)となり、60歳代では0.5%。
  • 偏頭痛は脳梗塞のRisk Factorにも挙げられているにも係わらず、自分の偏頭痛を病気であると認識する人が少なく、約2割の患者は受診どころか薬の服用すらしていない。医療機関を受診する人は2割強で、半数以上はOTCのみで対処している。
  • 診断の決め手は問診であり、発作の頻度や持続時間、前兆の有無などで群発頭痛や緊張性頭痛、脳梗塞脳出血との鑑別、および偏頭痛の分類を行う。
  • 偏頭痛治療薬の中にもいくつか分類があり、予防薬、前兆発作があったときに服用すると有効なもの、頭痛が始まってからでも有効なものを使い分けることが重要。
  • 頭痛日記をつけることで自分の発作の頻度、前兆症状の傾向を把握することが重要。
  • 予防薬としてはCCB(ミグシスなど)、エルゴタミン(ジヒデルゴットなど)があり、週一回以上偏頭痛発作がある人に推奨される。また、抗鬱薬も有用で、この場合、鬱病に対して出しているわけではないことを患者に説明しないと、あらぬ誤解*1を招くことがある。
  • 前兆発作が合ったときに服用して有効なものとしてはNSAIDsがあげられる。救命病棟24時1st Seasonで進藤先生がガブガブ飲んでた*2ボルタレンもこの分類。
  • 頭痛が始まってからでも有効で、その効果もエルゴタミンやNSAIDsよりずっと強力な薬剤がトリプタン系(イミグランなど)と呼ばれるもの。これらは頭痛本体以外にも悪心・嘔吐、光過敏などの随伴症状にも有効だが、前兆期に服用しても頭痛予防作用はない。また、連続大量使用による効果減弱が見られるため、月毎に別製剤にローテートする方法もとられる。
  • トリプタン系製剤の作用機序として、5-HT1B、1D、1Fの各受容体を遮断することが分かっている。1B及び1Dは脳のほかに肝などに分散しているが、1F受容体は脳血管動脈に局在することが最近分かった。このため、5-HT1F受容体を選択的に遮断する製剤が開発できれば、より副作用を生じにくい製剤となることが期待され、現在研究が進められている。
  • エルゴタミン製剤とトリプタン系製剤は、ともに心・脳血管を強度に収縮するため、両製剤を続けて服用すると虚血による脳梗塞を引き起こすことがあるため、エルゴタミン製剤服用後は7〜8hrくらいはあけてからトリプタン製剤を服用することが望ましい。

*1:先生は私が精神病だと思っているんだ、頭痛なんか気のせいだと思っているんだ。

*2:彼の場合は脳腫瘍からくる頭痛でしたが。