皮膚外用剤の基礎知識

三人目は東京逓信病院の副薬剤部長さん。
この人がすごかった。
この人の話を聞いただけで一日出席した価値もあったというもの。
内容としてはほんとに基礎なんだけど、基礎がいかに大事か、それなのにその基礎がいかにおざなりにされてるかを思い知らされる話でした。


例えば保存方法。
夏の車内に放置するとその温度は80度を超えるといわれていますが、そのような状況下ではチューブの中の軟膏剤はどうなるか。
多くの軟膏は一旦溶解してしまうようです。
その後、使用時には温度が下がって再び凝固するわけですが、そうなると下の方に主薬が片寄ってしまい、使用に支障をきたすようです。


例えば添加剤による取り扱いの注意。
一例としてあげていたのはアスタット液。
こいつは添加剤*1が合成樹脂を溶かしてしまうことがあるため、使用後に床にたれたりすると塗装がはげたり、液がついた指でメガネを触ったりすると、フレームがはげたりすることがあるようです。
このことはアスタット液の添付文書にはきちんと書いてあるようですが、まったくもって知りませんでした。
当然、患者さんにはきちんと服薬指導しなければならない内容だと思います。


例えば軟膏やクリームの混合。
当然ですがW/O型乳剤を水溶性基材やO/W型乳剤を混合すると乳化が破壊されて液状化してしまうわけですが、その製剤がW/OなのかO/Wなのかは直接添付文書には記載されていないことが多く、添加物から判断しなくてはいけません。
一例として、うちの薬局にはリンデロンDP軟膏とヒルドイドの1:1製剤が予製されているわけですが、これがリンデロンDP軟膏とヒルドイドソフトだとアウトなわけです。
しかしこの組み合わせが処方されてくることもあるわけで、そういう時は疑義照会が必要になるということです。
「おっとソフトかよ、危うく予製使うとこだったぜ」と、得意げにヒルドイドソフトを調剤してはいけないわけです。