よく見る皮膚疾患の病態生理と治療法

一人目は東邦大の助教授さん。
皮膚の解剖学的基礎から各種皮膚疾患の触りをダダーッと解説してくださいました。
一人目にふさわしい内容と、なかなか聞きやすい話し方をなさいましたが、話が盛りだくさん過ぎて、少し時間が足りなかったようです。
ただ、ダッと話しているにも関わらず、そこかしこに面白い内容や役に立つ内容がちりばめられており好印象でした。


いくつか紹介しておこう。
まずは、いかに人間が痛みを感じやすいかというお話。
人間には約300万の感覚点があるそうで。
そのうち、痛みを感じるのが200万、触感を感じるのが50万、冷たさを感じるのが40万で熱さを感じるのが3万だそうだ。
いかに痛みというものが生物が生き残るのに重要であったかがわかる。


次に、消炎鎮痛外用薬の塗り方について。
これらは一般に「よく擦り込んで下さい」と指導される。
では「よく擦り込む」とは何回くらい擦り込めばいいのか?
普通の感覚だと10回も擦り込めば十分な気がするが、60回ほど擦り込めば、10回に比べて有意に薬剤の吸収性が上がるという論文があるらしい。
しかし講師の先生いわく、60回もこすったら皮膚が摩擦でダメージを受けて炎症を起こすのではないか、炎症が起きればそりゃ吸収性はよくなるわな、と。
ごもっともです(-_-;)*1


論文がらみではもう一つ、ステロイド外用剤の使用回数について。
当薬局では特別に指示のない限り「一日1〜2回」と指導しています。
文献によっては一日3回としているものもありますが、先生が引用した論文によると、一日2回以上使用しても効能の向上よりも副作用の発現率の上昇の方が上回るようだ。
そうなると、重症例を除いては「一日1回」と指導するのが妥当なように思える。

*1:っていうか、ただでさえ病気でしんどいのに60回も擦り込むなんて疲れる真似しませんて。該当の論文書いた奴はもう少し頭使ってほしいものだ。